トロンボーンと言えば、どうしてもJ.J.ジョンソンやカーティス・フラー
と言った大御所を思い起こしてしまうのは、人材不足の楽器ゆえ
致し方ない事かも知れないが、彼を忘れてもらっては困る。
フランク・ロソリーノこそ、ウェスト・コーストを代表するミュージシャンで
ありとあらゆるセッションに引っ張りだこになったスターだ。
不出来や演奏のムラが少なく、どんな場面でも驚くべきテクニックと
豊かな音色で、完璧な演奏をこなす。
至難の業である管楽器同士のユニゾンをスイスイとこなすあたりは
並みのトロンボーン奏者ではない。
特に、ビッグバンドや多人数のコンボの場合は短いフレーズで、ソロをこなさなくてはならないが
こうした時にも数小節のソロで言いたい事を言い尽くせる技量と歌心を持ったトロンボーン奏者は
フランク・ロソリーノを置いて他には見当たらない。
ワン・ホーンによる本アルバムは『フランク・ロソリーノ・クインテット』、
『フランクリー・スピーキング』と並び、技量だけではないフランク・ロソリーノを堪能できる1枚。
おいらの記憶が正しければ、フランク・ロソリーノは1977年にピストル自殺をしている。
明るく器用なプレイの反面、その内面はとても繊細な人物だったのだろうか。
I Play Trombone/フランク・ロソリーノ (視聴有)
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